宣言文

夜の建築学とは、盛り場や歓楽街、色町に見られる夜の建築の美的側面に注目し、人間(特に男)の欲望を出発点としたアート作品(ここでは建築物)がどのような機能美を獲得していったかを明らかにすることを通じて、意識下に仕舞い込まれた人間存在の奔放さを明らかにする学問である。

仮説

夜の建築は女性を美しく見せる舞台であると同時に男を勘違いさせる装置である

先行研究

さしあたって、私たちの研究活動は資料集め(散歩)が中心になるが、すぐれた日本文化論の先駆的研究である九鬼周造『「いき」の構造』に範をとることにしたい。

用語解説

私たちが分析に用いる九鬼の言葉について、たとえば上品-下品軸において、上品が下品にまさるということを意味しない。同様に意気が野暮に対し上位にあるとも捉えない。これらは価値の上下関係ではなく、性格の違いを表す。善悪や美醜 の判断を伴わない。

機能美においてその「下品さ」が価値を持ち、「野暮さ」が人間存在の奔放さをより良く表現していることもある。この意味において、ここにあげたすべての言葉が褒め言葉にも、その反対にもなりうる。フィールド音声中にこれらの言葉を聞くときは注意されたい。