新宿歌舞伎町その3

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新宿歌舞伎町の建築にも目が慣れてきた一行。だんだん口が悪くなっていく。

ディスプレイ


フィールド音声を聴く 8分00秒

海野「ちょっとあのネオンの感じ下品じゃない」
カルロス「どれ?あー」
関谷「逆にあそこに店の名前出させないみたいな上品な感じもあるよ。各店舗がそれぞれの名前とかにしてしまいたいところだけど、」
カルロス「たしかにディスプレイの場所になってるね」
関谷「それはやってくれるなと。より雑居ビルっぽく見えちゃうから」
海野「じゃ、そのディスプレイのところいらないじゃん」
関谷「つくってみたら、うわー、なんかすごくなっちゃったよみたいな?」
海野「あー、エライの入ってきちゃったとか」
海野「ここは統一してますね。やっぱしっかりしてる(笑)」
一同「しっかりしてる(笑)」
カルロス「まず色変える必要性ってあるのかね。ふしぎだよね」
関谷「見やすいですよね」
カルロス「あ、見やすい。まず。機能面ね」
関谷「さっきも階で分かれてますよね」

(このあたり風が強いのでノイズあり)

歌舞伎町

新宿のアールデコ

カルロス「今度のもまた外国っぽいですね。どこっぽいのかな?むしろ現代ですか?」
海野「ちょっとラブホっぽくないですか?やっぱR(アール)ついてるし。
カルロス「何かとアール付けたがるのも夜の建築ですよね。あと、スペイン的な感じですか?それとも少しアールデコな感じもあるかな?実はおしゃれな建物ですかね。案外古いのかな」
海野「あれ何?あの出っ張り」
関谷「あー、空調室外機。上から三段目とか見ると置いてある。室外機置き場だね。
海野「オシャレだね」
関谷「照明も凝っていて下からアッパーライト当てたりしている。」
カルロス「アールデコ風な感じでてるな」
海野「室外機はみ出しちゃってるね。想定外の大きさだったかな?
カルロス「室外機が外に出てるというのはこの辺のこの規模のビルでは良くあることなんですか」
関谷「あ−、このぐらいの規模だと、いや、大きいビルだと上に置いちゃうんですよ。でも店舗店舗で各々空調となると、各階で起きたくなるんですよ。で、だいたい屋外階段とかにやったりとか、裏にやったりとか、前面には露出させないんだけど、
カルロス「それを・・・」
関谷「あえて、前面に持ってきてます。グレッチングとかにして、裏っ側にやると、結局スペースとられちゃうので、それをなくして広くして、代わりに表面に持ってきています。これはアイデア、工夫ですね。
海野「80点?」
関谷「うーん、思いついた!という感動が感じられますね」
海野「関谷さんが80点って、そうそう出さないから(笑)」
カルロス「これはすばらしいということでしたが・・」
海野「でもこれ不安じゃない?はみ出してるし」

看板の統一感

羽野「この看板、今までと違って統一されてません?」
カルロス「看板の一枚一枚に枠撮りがされているところとかね」
海野「まわりは立派すぎて、中の字がエラいチープに見えるよ。フロアの2スペース分あるんだろうけど、ほら、カンバン2枚に跨ってて、文字が途切れてる」

一同「はははは」

カルロス「夜の建築で見られるカンバンって特徴あって、こういう場所だとちいさな店舗が各々カンバン出すことになるでしょ、それが一カ所にでることになって、それが他の建築ではあんまり見ることないし、その分アンバランスなものがたくさん生まれてくる余地があるよね。ここは白で整えてるね」
海野「あのガラスいいですね、あのガラス」
カルロス「ステンドグラスだね。どう?あのステンドグラス」
海野「急に古いですね。」
カルロス「古い?」
海野「でも青が多いですね。昔のはもうちょっと緑とか黄色が多い感じ」
関谷「たぶん、あのステンドグラスは後付けでやったと思います。上は空いてるじゃないですか。
海野「店用に後で付けちゃったとか?」
関谷「後で付けちゃったかですね。よく見ないと分かりませんが、本当は付けちゃいけないかも知れません。メッシュ状にしておかないと外階段になりませんから。
海野「あー、スケスケじゃないと?」
関谷「屋外じゃなくなっちゃうんです。」

歌舞伎町

新宿の夜の色使い


フィールド音声を聴く

通りを見通す交差点から

カルロス「やはり地方都市はね、レインボーなんだよね。新宿はね、白くなってきている。昔ってもっとゲスな感じあったじゃない。金ピカなかんじとか。それがどんどん冷たい白い色に変わって行っているね」
海野「街に呑まれて行ってるんですかね?街に合わせているというか。ピンク色の店入らないですもん、ここ。
カルロス「あの、カンバンとかおしゃれ感出してるでしょ」
海野「あー」
カルロス「ま、それでもやはり、レインボーも出現してるな」
海野「はははは。でもこっちって全然来ないですよ。」

(一同歩きながらカンバンに注目)

海野「白いっすね、ホント」
カルロス「あー、典型的なレインボー、こっちは白ですね」
(黒い色使いと青色LEDの装飾のあるビルを見ながら)

海野「こっちはどうですか?少し若い感じ。渋谷っぽい。」
羽野「こういう建築って、夜の商売に特徴的なものじゃないですか?つまり外階段付けなきゃいけないことを、うまく利用してこういう見せ方してみたり」
カルロス「なるほど」
羽野「必要に迫られたとは言え、夜の建築だけどうしてこういう発展の仕方をしたのかは気になるし、今後の研究にしていきたい部分ですね。」
カルロス「さて、このへんで反省会に入りましょう」

意気の構造

一同は、今回のフィールドワークを総括するべく、居酒屋へ。

「いき」の構造
九鬼周造先生の「いき」の構造のなかに新宿歌舞伎町の町並をプロットしてみた。

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