年間アーカイブ 2013
新宿歌舞伎町その3
新宿歌舞伎町の建築にも目が慣れてきた一行。だんだん口が悪くなっていく。
ディスプレイ
※
フィールド音声を聴く 8分00秒
海野「ちょっとあのネオンの感じ下品じゃない」
カルロス「どれ?あー」
関谷「逆にあそこに店の名前出させないみたいな上品な感じもあるよ。各店舗がそれぞれの名前とかにしてしまいたいところだけど、」
カルロス「たしかにディスプレイの場所になってるね」
関谷「それはやってくれるなと。より雑居ビルっぽく見えちゃうから」
海野「じゃ、そのディスプレイのところいらないじゃん」
関谷「つくってみたら、うわー、なんかすごくなっちゃったよみたいな?」
海野「あー、エライの入ってきちゃったとか」
海野「ここは統一してますね。やっぱしっかりしてる(笑)」
一同「しっかりしてる(笑)」
カルロス「まず色変える必要性ってあるのかね。ふしぎだよね」
関谷「見やすいですよね」
カルロス「あ、見やすい。まず。機能面ね」
関谷「さっきも階で分かれてますよね」
(このあたり風が強いのでノイズあり)
歌舞伎町
新宿のアールデコ
カルロス「今度のもまた外国っぽいですね。どこっぽいのかな?むしろ現代ですか?」
海野「ちょっとラブホっぽくないですか?やっぱR(アール)ついてるし。
カルロス「何かとアール付けたがるのも夜の建築ですよね。あと、スペイン的な感じですか?それとも少しアールデコな感じもあるかな?実はおしゃれな建物ですかね。案外古いのかな」
海野「あれ何?あの出っ張り」
関谷「あー、空調室外機。上から三段目とか見ると置いてある。室外機置き場だね。
海野「オシャレだね」
関谷「照明も凝っていて下からアッパーライト当てたりしている。」
カルロス「アールデコ風な感じでてるな」
海野「室外機はみ出しちゃってるね。想定外の大きさだったかな?
カルロス「室外機が外に出てるというのはこの辺のこの規模のビルでは良くあることなんですか」
関谷「あ−、このぐらいの規模だと、いや、大きいビルだと上に置いちゃうんですよ。でも店舗店舗で各々空調となると、各階で起きたくなるんですよ。で、だいたい屋外階段とかにやったりとか、裏にやったりとか、前面には露出させないんだけど、
カルロス「それを・・・」
関谷「あえて、前面に持ってきてます。グレッチングとかにして、裏っ側にやると、結局スペースとられちゃうので、それをなくして広くして、代わりに表面に持ってきています。これはアイデア、工夫ですね。
海野「80点?」
関谷「うーん、思いついた!という感動が感じられますね」
海野「関谷さんが80点って、そうそう出さないから(笑)」
カルロス「これはすばらしいということでしたが・・」
海野「でもこれ不安じゃない?はみ出してるし」
看板の統一感
羽野「この看板、今までと違って統一されてません?」
カルロス「看板の一枚一枚に枠撮りがされているところとかね」
海野「まわりは立派すぎて、中の字がエラいチープに見えるよ。フロアの2スペース分あるんだろうけど、ほら、カンバン2枚に跨ってて、文字が途切れてる」
一同「はははは」
カルロス「夜の建築で見られるカンバンって特徴あって、こういう場所だとちいさな店舗が各々カンバン出すことになるでしょ、それが一カ所にでることになって、それが他の建築ではあんまり見ることないし、その分アンバランスなものがたくさん生まれてくる余地があるよね。ここは白で整えてるね」
海野「あのガラスいいですね、あのガラス」
カルロス「ステンドグラスだね。どう?あのステンドグラス」
海野「急に古いですね。」
カルロス「古い?」
海野「でも青が多いですね。昔のはもうちょっと緑とか黄色が多い感じ」
関谷「たぶん、あのステンドグラスは後付けでやったと思います。上は空いてるじゃないですか。
海野「店用に後で付けちゃったとか?」
関谷「後で付けちゃったかですね。よく見ないと分かりませんが、本当は付けちゃいけないかも知れません。メッシュ状にしておかないと外階段になりませんから。
海野「あー、スケスケじゃないと?」
関谷「屋外じゃなくなっちゃうんです。」
歌舞伎町
新宿の夜の色使い
※
フィールド音声を聴く
通りを見通す交差点から
カルロス「やはり地方都市はね、レインボーなんだよね。新宿はね、白くなってきている。昔ってもっとゲスな感じあったじゃない。金ピカなかんじとか。それがどんどん冷たい白い色に変わって行っているね」
海野「街に呑まれて行ってるんですかね?街に合わせているというか。ピンク色の店入らないですもん、ここ。
カルロス「あの、カンバンとかおしゃれ感出してるでしょ」
海野「あー」
カルロス「ま、それでもやはり、レインボーも出現してるな」
海野「はははは。でもこっちって全然来ないですよ。」
(一同歩きながらカンバンに注目)
海野「白いっすね、ホント」
カルロス「あー、典型的なレインボー、こっちは白ですね」
(黒い色使いと青色LEDの装飾のあるビルを見ながら)
海野「こっちはどうですか?少し若い感じ。渋谷っぽい。」
羽野「こういう建築って、夜の商売に特徴的なものじゃないですか?つまり外階段付けなきゃいけないことを、うまく利用してこういう見せ方してみたり」
カルロス「なるほど」
羽野「必要に迫られたとは言え、夜の建築だけどうしてこういう発展の仕方をしたのかは気になるし、今後の研究にしていきたい部分ですね。」
カルロス「さて、このへんで反省会に入りましょう」
意気の構造
一同は、今回のフィールドワークを総括するべく、居酒屋へ。
「いき」の構造
九鬼周造先生の「いき」の構造のなかに新宿歌舞伎町の町並をプロットしてみた。
新宿歌舞伎町その2
夜の建築は建築基準によって生まれた?
夜の建築の意外な事実。
レリーフ
角に開口部を持ち、階段が配置された、典型的な夜の建築物を見ながら。
羽野「天井がガラス張り、鏡張りですね」
関谷「あれも周辺に配慮しないといけないんですよ。苦情とかがあると行政も指導したり」
カルロス(壁に2メートル角の女神を象ったレリーフをさして)「あのレリーフはどうでしょう?」
海野「来ましたね」
カルロス「あれはいい?」
海野「あれちょっとかかってますね」
カルロス「ああいうのは元ネタがあるの?」
海野「ありますね」
カルロス「模倣して作っている?それとも誰かがだいたいで?」
海野「あー、だいたいじゃないですか」
カルロス「模倣してるけど、作っている人のイマジネーションで作られるとか?」
海野「そうですね、でもあれちょっと顔が新しいですよね。さっきのより」
カルロス「どういう意味?」
海野「今っぽい顔しているというか」
羽野「へー」
海野「ちょっと丸いというか。もうちょと角張ってるじゃないですが、ギリシャ彫刻とか。さっき方が角張ってたでしょ。」
カルロス「なんか絵画とかを参考にしているとか」
海野「そんな気もしますね」
カルロス「右のムネのところぐっと押さえてますね」
海野「気にしてますね。ちょっと宮沢りえ的な」
カルロス「これ時代が経つとどんどんアニメ顔とかになったりするのかな?」
海野「ははは。あるかもしれないですね。」
外部避難階段の華麗なる擬態
(関谷さんがひとり建物の裏がわを見に行く)
関谷「これがそうです。避難階段が後ろにありますね」
カルロス「さっきのはデザイン的に前面でつかっていたわけですね」
カルロス「さて僕等はいまホテル街にいるんですけど、色がね、なんか青とか白が多いですよね」
海野「青いですね」
カルロス「昔のとか、地方に行くともっと色が違う印象があるんですけど」
(区役所通りのほうへ歩く。オスローバッティングセンターから新宿バッティングセンターへ)
カルロス「なんか面白い建物ありましたか?」
関谷(正面から見ると中心で線対称に見える建物を指して)「これ、こう見えて、右が屋外避難階段です」
一同「へー」
カルロス「同じように見えてるけどね。真ん中にアーチ状の入り口があって夜の建築の片鱗を見せてます」
関谷「実はそうなんです」
カルロス「第5本間ビルを見てみると、看板がレインポーですね。僕は夜の建築の特徴のひとつにこのレインボーを挙げているんですけど。
海野「?」
カルロス「看板がなぜか、レインボーのグラデーションになるという傾向があるんですよ。」
海野(色違いの看板をみつけ)「明らかにマリーゴールドが足引っ張ってますね。」
カルロス「あとから『同じような色にして』っていったらああなっちゃったみたいな」
海野「はははは、ありえる」
カルロス「店の入れ替わりとかもあるからね」
羽野「建築の人から言わせたら看板を統一させたいとかそういうのもあるものなんですか?」
関谷「そうですね」
羽野「これフロアで統一させているということですかね?」
関谷「でしょうね」
カルロス「あとAKビルで見たように、前面に柱条の壁とガラスで縦の長いラインを
作り、建物を大きく見せるような効果が見られますね」
関谷「あの素材はガラスブロックですね」
海野「昔の町医者はこんな壁でしたね」
カルロス「昔ありましたね」
関谷「今も割に使われますよ。それなりに普通のガラスよりは断熱効果がある。値段的にも高いです。ガラスブロックの中でもすこし面白いですね」
カルロス「中が赤く塗ってあって、あと、途中で壊れたのを取り替えたら色が違っていたみたいな」
海野「ちょっとこれ襲撃受けてません?」
一同「(スー)」
海野「あれ割るって相当ですよ。あの別に赤いところあきらかに貫通してますよ」
カルロス「バヒューン、バヒューン」
海野「ゴールドマリーですか」
カルロス「青色LEDの発明以降、夜の街にも青とか白の照明の隆盛が反映されてきている気がしますね。」
カルロス(たくさんの店舗の表示のある看板を指し)「看板の彩りなんてどう?あの配置とか。勝手にやらないとあの配置は出てこないよね」
海野「なにもバランストって無い」
カルロス「好き勝手やらないとね。逆に言うと、絶対にありえないよね。こういう場所じゃないとでてこない色の配置というか。言い過ぎ?褒めすぎ?」
海野「いや、褒めてないでしょ。ひとつも褒めてない。ビックリしたわ」
新宿バッティングセンター
一行はバッティングセンターの看板に描かれた人物が気になる様子。
※
フィールド音声を聴く1分20秒
海野「あれ長島?」
関谷「長島っぽいけど左バッターだから・・・」
海野「構成にあわせて左バッターにしたとか」
カルロス「王選手?あっ中畑?」
海野「中畑?」
関谷「中畑も右打ちですね」
海野「王さんは」
関谷「王さんは左。顔は長島っぽいけどね。」
海野「でも中畑も少し入ってるよね。」
羽野「実はデザイン凝ってますよね。ネオンの一部がボールとバットになってたり」
羽野「うしろのSOPHIAが借景になってたり。」
海野「スパイダーマンいるね」
つづく
新宿歌舞伎町その1
序幕
一同はJR新宿駅を背にし、靖国通りを横断して、歌舞伎町一番街へ
今回のフィールドワーカー紹介
仲島カルロス NAKAJIMA, Carlos(座長)
2008年から夜の建築をつぶさに観察。夜の建築を通じて、日本人の精神性を探る。野生の研究の立場から発言を続ける。映画チャンネル支配人。NPO上海情報ステーション代表。札幌市出身。
羽野暢 HANO, Toru(映画監督)
2009年の長編作品「モスリン橋の、袂に潜む」では島全体が遊郭という”夜伽ノ島”を登場させ、淫靡かつ幽玄な世界を映像化した。関西の赤線地帯や歴史的遊郭にも造詣が深い。大分市出身。
海野良太 UNNO, Ryota(現代美術作家)
2004年東京芸術大学日本画学科卒業。ニューヨークやサンパウロなど世界の大都市に滞在し、日本画の手法を用いながらも、土地土地の風俗を描いた現代絵巻は、その鋭い観察眼と精緻かつユーモラスな描写力で高い評価を得ている。静岡県出身。本画学科卒業。
関谷明洋 SEKIYA, Akihiro(アーティスト)
建築解説。建築の機能面に注目し、建築の外と中を自然なストーリーで結ぶその手腕には定評がある。
歌舞伎町一番街
海野「あんまり来ないね、このへん。」
羽野「関谷さん建築物が気になるみたいですね。」
関谷「ニューヨークっぽい。」
海野「それ俺でも言えるヤツ(笑)」
カルロス「あー、あれはニューヨークのアパートですね。このへんは飲食店などが多いですが、今日目指す夜の建築はもっと奥の方ですね。」
海野「ニーヨークっぽいに対抗して、なんか探してるんだけど見つからないね。」
カルロス「ねぇ、みんなICレコーダに声入るようにしゃべってね。」
一同「はははは」
ICレコーダを囲んで再び歩き始める
羽野「歌舞伎町って建物入れ替わってないんですかね?」
関谷「そうですね」
海野「看板にむらがありますね」
カルロス「どういう意味?」
海野「建物が新しいか古いか」
カルロス「タイル張りの建物が多いね、(ヨーロッパ風の外観を見つけて)このへんはどう?」
海野「フランスだね」
カルロス「はははは」
カルロス「ニューヨーク、フランス・・・、おっと、コマのところまで来ました。」
羽野「コマってあたらしくなるんでしたっけ?」
カルロス「たしか新しくなるんだとおも・・・」
客引き「居酒屋どうですか」
海野「客引きの方が声張れてるじゃないですか。開けてみたら客引きしか聞こえなかったりして。」
カルロス「まだ文字おこし出来る内容無いね」
羽野「なんかライオンがいますね」
カルロス「コマの工事中のところを通り抜けました。」
羽野「コーヒーショップクールに出ました。」
カルロス「コーヒーショップクールのフォントが、今はない感じだね。」
羽野「”ショップ”が小さいですね。」
海野「”クール”でかいね」
カルロス「フォントも違うね。」
羽野「一番賑わっている駅寄りよりも、建物が生き残ってる感じもありますね。最近新しい建物でこういうレンガもどきのってあんまりないじゃないですか。こういうのっていつ頃建てられたんですか?」
関谷「これでも20年(1993年築)くらい経ってるんじゃないでしょうかね。」
羽野「これってレンガじゃないですよね」
羽野「タイルですね。ま、確かに思いっきりレンガ調ってのは減ってきましたね。」
関谷「変な話、これ高いんですよ。」
一同「?」
関谷「右っかわで目地の入っているのあるじゃないですか。ああいうのは、外壁になる板があって、モルタルで張って、世の中で一番安い素材です。」
羽野「で、この右側はちょっと高い」
関谷「コンクリートで作った上にモルタル張っていちいち張ってるんですよ。関谷「鉄筋コンクリートぞうで、こっちは鉄骨造で吹きつけタイル。
カルロス「一番安い材料?」
羽野「赤煉瓦の建物の、下が柱みたいになっているのは、どういう風に出来てるんですか?」
関谷「下は石ですね。カットして付けるんです。張るって言うより引っかけるという感じかも知れません。一階は石で、それ以降はタイル・・」
(ここで客引きの男性が割り込んでくる)
客引き「あれ、なんか別の話している?」
(~中略~)
キーワード:2000円/ぼったくり/ショットバー/麻雀屋さんは仲いい/入れ替わり/不動産や/
※音声でお楽しみ下さい。
客引き「テナントさん見ていたのかな?物件を探していらっしゃったのかな?物件のことまでわからないからな」
羽野「ありがとうございました。」
閑話休題
羽野「スナック的な、ネオンとか並んでいるのも昭和的っていうか・・」
カルロス「看板が縦に並ぶ雰囲気とか」
羽野「しかも時代を感じされるのはなんででしょうね」
関谷「袖看板というのは厳密に言うと敷地超えてるんですよ。あれ、お金払うんですよ」
一同「あ、そうなんですか」
関谷「越境しているんです。はみ出している分が」
カルロス「それってどんなところでもですか?」
関谷「区によって安かったりとか、ないとかあるかもしれませんけど」
羽野「誰に払うんですか?お金?」
関谷「区ですね。区とか行政庁」
三番通りを左に入る
カルロス「これちょっとギリシャっぽい感じ?」
海野「”ITALY-YA”って書いてありますよ。イタリーヤ」
羽野「acbやって書いてますよ、柱はこれ、ギリシャですよね」
カルロス「コリント式ってことでいいんですかね、入り口のところに・・」
羽野「柱としての役割は当然果たしてないんですよね」
関谷「両サイドにあるのはコリント式で、まんなかだけ微妙にドーリア式でしょうか」
カルロス「コリント式ですね。(上部にあるレリーフを指して)これは女神ですか・・・」
海野「ラブホテルですよね(笑)」
カルロス「あのレリーフの感じは・・」
羽野「デザイン的に」
海野「甘いですね(キッパリ)」
一同(笑い)
羽野「どの辺が甘いですか」
海野「十九、二十才くらいのときあれくらいできましたね」
カルロス「ああいうのは誰が作ってるの実際は」
海野「あー、造形屋さんとか」
関谷「看板屋さんとか」
海野「看板屋さんというとクオリティ高く感じるな。ペンキぬってるイメージだから」
カルロス「ああいうのは建築に入ってくるの?」
関谷「微妙ですよね。看板だと越境しても良いけど、建築だとダメなんですよ。」
海野「建築物だと出ちゃダメなんだ」
関谷「人んち出ちゃいけないのと一緒で」
羽野「じゃあの出っ張りとかはだめなんですか?」
関谷「それは微妙なところがあって、
海野「(横から確かめに行って)「胸が一番出てる」
一同「胸?」
海野「今横から見たら胸が一番出てた」
カルロス「胸がはみ出しているなら、その分だけ」
海野「お金払ってるんだね」
カルロス「ありうるね」
海野「ここに名前書いちゃったらもう看板扱いだよ」
カルロス「ギリシャものがきましたね。さっそく」
ローマで天然果汁
カルロス「さて、ここの角っこの店は・・・」
関谷「マルス」
カルロス「”天然果汁ヲ作ル店”となっていますね。なんかエロティックな標語に見えてきました」
関谷「マルスってギリシャつながりですね」
カルロス「マルス!ギリシャ−ローマと来ましたね。建築的にはどうですか」
羽野「書き方がいいですね。こっちのヲですもんね。建物も凝ってますね。ガラスですか?素材は」
関谷「外壁も凝ってますよ。ぼこぼこしてますよね。ちょっと加工してますよ。」
羽野「角を入り口にするのは最近あんまり無くないですか?昔の銀行とか、清澄白河のちょんの間みたいなところもこんな角から入るところでしたね。」
海野「ああいう土地を買ったの?」
関谷「もともとこういう土地だったのかな。もともと四角かった土地だけど、新しく建てるにあたって道路を広げることもありますよ」
羽野「この鉢は大丈夫ですか?」
関谷「鉢は・・・」
海野「これダメでしょ」
カルロス「新宿らしくないね。下町っぽいというか」
関谷「谷中っぽい」
海野「雑さは新宿っぽいですけど。発泡スチロールの壊れ方が。酔っぱらいにやられてますね」
カルロス「植木の植物でも無い感じだね」
海野「ちがうちがう(笑)」
「えっそうなんですか?」〜メインディッシュ
カルロス「さてバッティングセンターを横に三番通りを歩いてくると、白い看板が目立つようになりました。」
一同「あっ」
羽野「出ましたね。」
カルロス「これが僕たちが夜の建築と呼ぶ代表格の・・」
羽野「メインディッシュですね」
海野「たしかにここから出てきたら可愛く見えますね」
カルロス「まず、正面に空間を作って、そこに階段を配置するというスタイルみたいなものはあるんですか?夜の建築を代表する形だと思っているんですが」
関谷「これは・・・、法律で一番効率が良くてこう建てるんですよ。
カルロス「えっそうなんですか。」
関谷「割に。実は。これ資料持ってきたんで後で説明します」
カルロス「僕等はこれを夜の建築の代表として挙げているんです。まずエントランスに空間と階段。」
羽野「また全般にR(アール)がある感じで、細工にクラシックな感じのものがついていたり、手すりの装飾があって、また大理石をつかったりする」
関谷「上が格子状になっる意じゃないですか、スケスケになっているの。あのスケスケにも理由があるんです。そうじゃないといけない理由が」
カルロス「えー、じゃいろんな建築的な理由からこの形が生まれてきているんですか。いろんな制約から」
関谷「これは外部避難階段というものなんです。」
海野「スケスケが?」
関谷「外部って言うためにはスケスケじゃないといけないんです」
海野「つけなきゃいけないんだ、避難階段を」
羽野「それをデザイン的に・・」
関谷「そう、使っちゃったと言うことです」
カルロス「そういった要請があるっていうことは考えてなかったな」
羽野「だからそういうのが増えてきたということもあるんですかね」
海野「ソープランド」
カルロス「ソープランドですね」
羽野「7000円というのは相場的にどうなんですか?」
海野「安いですね(キッパリ)」
カルロス「(三メートル大の”く”の字型の金属のレリーフをみつけ)この建物のレリーフ格好いいですね。翼のような」
海野「古い感じするなぁ。あれは古いでしょ(笑)」
カルロス「やはり時代の記憶がとどめられているような感じがしますかね」
海野「バルコニーの柵も」
カルロス「あーS字の鉄の棒が縦に配置してある・・
海野「シンガポールみたいな」
カルロス「あの窓の・・
海野「シンガポールあんな感じですよ」
カルロス「出入り口、いやバルコニーみたいな感じですかね・・
海野「”シンガポール”って全然食いついてくれないじゃないですかっ!」
一同「はははは」
カルロス「アート的にはどうですか、古い感じ出てるんですか?」
海野「昭和・・・、明・・」
カルロス「明は無いでしょ、明治は。なに、フランスからやって来たみたいなかんじ?」
海野「そうですね。南のほうから。南フランス」
カルロス「あ、南フランス」
海野「そう。なんか意識しちゃってるのが古い」
羽野「意識する時代があったんですか」
海野「あったね。」
羽野「それはいつごろ・・」
海野「昭和・・明・・・」
羽野「明治ですか」
海野「ぐいぐいきますね、そこ」
羽野「K会館に来ました」
カルロス「またギリシャ的なイメージですか」
関谷「教会っぽいところもありますね」
カルロス「ゴシック的な感じもありますか」
関谷「そうですね」
羽野「実際は”AK”会館みたいですね。Aがはずれてます」
羽野「この蔦は意図的ですか?」
関谷「これはこっち側の建物無くなっただけでしょう。見える側にはお金かけるけど、隣の建物無くなったらダクトとかも丸見えでちょっと恥ずかしいみたいな。」
カルロス「建物前面が4階部分まで柱とガラス張りで作られた建物でした。」
つづく
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